奴隷になりたい〜おまけのおまけ〜
羽織ったブランケットを剥ぎ取ると、その下にあるジェレミアの身体に衣類は一切身に着けていなかった。
池の水で汚れた身体をシャワーで洗い流して、そのままブランケットを纏っていただけなのだろう。
服を脱がせる手間が省けるルルーシュにとっては好都合だった。
しかし、ジェレミアは剥ぎ取られたブランケットを慌ててルルーシュの手から奪い返し、曝された自分の身体を必死に隠そうとしている。
見た目は普通の人間となにも変らないのに、ジェレミアはその身体に酷いコンプレックスを持っている。
ジェレミアがそうなってしまったのは「ゼロ」だった自分の所為なのだから、それは仕方がないことだろうとルルーシュは思う。
見た目は変らなくてもジェレミアの身体は半分以上が機械にされてしまっているのだから。
それでもルルーシュにはそれを哀れむつもりは毛頭ないかった。
無理矢理ジェレミアからブランケットを剥ぎ取ると、手の届かないところへ放り投げる。
ジェレミアに視線を向ければ、絶望的な顔をして、曝された自分を隠すように身体を小さく丸めていた。
「今更なにを恥ずかしがる?」
ルルーシュの言葉にジェレミアはなにも答えず、より一層その身を小さく縮めている。
やれやれと、ルルーシュが溜息を吐いて、放り投げたブランケットを拾い上げて、ジェレミアの上にふわりと被せた。
「仕方がないな・・・」
独り言のように呟いて、「付いて来い」とジェレミアに言いながら奥に設えた寝室へと歩き出す。
無論、ルルーシュは一度も後ろを振り向かない。
それがルルーシュの気遣いだと知らなくはないジェレミアは慌てて後を追いかけた。
寝室は思った以上に薄暗かった。
陽はまだ高い位置にあったが、その光のほとんどを締め切った厚手のカーテンが遮断してくれている。
「これくらいなら我慢できるだろ?」
問われてジェレミアは少し俯き加減で小さく頷いただけだった。
ジェレミアの口数が極端に少なくなってしまうのは、照れているからなのか、恥らっているからなのか。
どちらにしても、頬を微かに紅くしているジェレミアの表情にルルーシュはご満悦である。
ベッドの端に自分よりも長身のジェレミアを腰掛けさせて、上から重なるようにしてキスをする。
それはジェレミアも心得ているので、改めて指示する必要がなかった。
ジェレミアはルルーシュの次の行動を的確に判断してくれるので、その点では余計な会話はしなくて済むのが嬉しい。
それは互いの理性のあるうちだけの話なのだが。
重ねた唇を首筋に滑らせながら、ゆっくりとジェレミアの身体をベッドの上に押し倒す。
ルルーシュの両の手にはめられた手袋を外して、羽織っただけのブランケットの中に右手を差し入れ、その胸元を指先だけの微妙な力でなぞると、くすぐったいのかジェレミアは身体を微かに捩じらせた。
ルルーシュの指先に感じる皮膚の質感は人間のものと区別がつかないくらい精巧にできている。
ルルーシュの指の動きに対するジェレミアの反応も、普通の人間と変らないのはそこに神経の代用となるものが組み込まれているれている証だった。
ただ、そこを強く吸い上げても、鬱血の痕は残らない。
毛細血管までは再現できないらしいことが窺える。
それは初めてルルーシュがジェレミアに触れた時に、興味本位でいろいろと試した結果の集計にすぎないのだが。
しかし今は、ジェレミアの身体の構造に対するルルーシュの興味は薄れていた。というよりも、まったく気にならない。
気にしているのは寧ろジェレミアの方だ。
コンプレックスというものはそう簡単には消すことができない。
薄闇の中で今もジェレミアは劣等感と快楽の予感の間で激しく葛藤しているのだろう。
その証拠にジェレミアは一度もルルーシュと視線を合わせようとはしていない。
それはいつものことなのでルルーシュは気にもしていなかった。
だから遠慮なしに先に進むことにする。
胸元に滑らせた指先で左の突起を摘むように刺激して、徐々に下に落とした唇でもう片方を吸い上げる。
口に含んだそれを舌先で弄ると、ジェレミアの身体がビクリと震えた。
感度のいいそこをじっくりと時間をかけて愛撫する。
愛撫を続けながら、時々ジェレミアの顔を上目遣いに覗き見れば、唇を噛み締めて必死に声を押し殺している姿が意地らしい。
しかし、ジェレミアの喘ぐ声が聞けないのはルルーシュにとって非常に残念なことだ。
クスリと口許に笑みを浮かべて、胸を弄っていた指をジェレミアの口許に持っていく。
噛み締めているジェレミアの唇をその指でなぞり、僅かに開いた隙間から中指だけを口内に滑り込ませると、逃げる舌を追いかえるようにしながら絡ませた。
最初は萎縮してルルーシュの指に翻弄されていたジェレミアの舌が、時間の経過と共にその強張りを解いていく。
気がつけばルルーシュの手をとって、夢中で口内にあるルルーシュの指をしゃぶっている。
ルルーシュは胸から顔を上げ、それを満足そうに眺めた。
その視線に気づかないほどに、ジェレミアは夢中になっている。
「ジェレミア・・・」
呼ばれてジェレミアが声の主を見上げる。
恥ずかしいのか、ジェレミアの舌の動きが疎かになって、ルルーシュは思わず意地の悪い笑みを浮かべた。
「噛むなよ!?」
そう言って、ぐいっと指を喉の奥に届くほどに押しつける。
突然のことに驚いて、大きく目を見開き苦しそうな表情を浮かべながらも、ジェレミアは必死に口を開けて、入り込んだルルーシュの手の甲に歯が当たらないようにしている。
息ができないほど苦しいはずなのに、ジェレミアはルルーシュの言葉に従順だった。
そのまま歯列の内側を指先でなぞって、ゆっくりと指を引き抜くと、名残惜しそうにジェレミアの舌がそれを追いかける。
「なんだ?まだ足りないのか?」
意地の悪い質問をすると、ジェレミアは恥じらいながらも小さく頷く。
「そんなに俺の指が美味いか?」
続けられた問いかけに、今度は答えなかった。
顔を紅くしておもいきり恥じているのがわかる。
その顔に苦笑して、ルルーシュはジェレミアの望みを叶えるために、一度抜いた指をジェレミアの唇に当てた。
焦らしてやるつもりだったが、ジェレミアは待ちきれないようで、その手でルルーシュの指を自分の口内に招き入れる。
いつも受身の体勢で、ルルーシュにされるがままに翻弄させられているジェレミアにしては、やけに積極的な行動だった。
ルルーシュは少し驚いたが、それでもジェレミアの好きにさせることにした。
「こういうのも悪くない」と思いつつ、その様子をじっと見つめている。
ルルーシュに見つめられていても、恥ずかしいと思う余裕がないくらいに、ジェレミアは夢中でルルーシュの指を貪った。
しばらくジェレミアの好きにさせて、それを珍しいものでも見るかのように眺めていると、ジェレミアはルルーシュに訴えるような視線で見上げてくる。
「どうした?」と低く問いかけると、ジェレミアの手がルルーシュの服に触れた。
「服?」
わざと惚けて尋ねると、ジェレミアは小さく頷く。
ジェレミアはほとんどを曝け出しているのに、ルルーシュはまだ服を脱いでいない。
脱いで欲しいと訴えているのはわかっていたが、
「心配しなくてもいい。汚れたら着替えるだけだ」
わざと的外れな答えを返してやる。
ジェレミアは恥ずかしそうに首を横に振って、ルルーシュの上着の襟元に手をかけた。
仕方なく、ルルーシュはジェレミアの口から指を離して、上着を脱ぎ捨てる。
「これでいいか?」と、ルルーシュがジェレミアを窺えば、耐え切れないような表情を浮かべているジェレミアが可愛かった。
「お願いです。ルルーシュさま・・・どうかお召し物を、お脱ぎください」
「お前が脱がせてくれるなら考えてやってもいいが?」
今この状況でジェレミアにそんな畏れ多いことができるはずがないのを知っているルルーシュは意地悪だった。
きっと泣きながら懇願してくると、ルルーシュは予想している。
しかし、ルルーシュのその読みは見事に外れた。
躊躇いながらもジェレミアはルルーシュの服に手をかけて、それを脱がせようとしている。
「・・・今日のお前は珍しいことばかりだな?」
身体を起こして、ルルーシュを膝に乗せるようにして服を脱がせにかかったジェレミアの耳元で囁いたルルーシュの声は楽しそうだった。
ジェレミアはなにも言わず、黙々とルルーシュの服を解いている。
ちらりと、目線だけでその下半身を覗き見れば、まだ触れてもいない欲望が膨らみきっていた。
ジェレミアの理性はすでにほとんど残されていないらしいことが窺える。
「お前、相当溜まっていたんだろう?」
ジェレミアのストレスの原因が欲求不満だと確信して、ルルーシュは起ち上がったジェレミアの下肢に指で触れる。
ルルーシュのシャツのボタンを外していたジェレミアの身体がピクンと震えた。
掌で緩くそれを握って、ゆっくりと上下させると、ジェレミアは耐え切れなくなったのか、ルルーシュの身体を抱きしめて、その白い首筋に唇を当てる。
「・・・ルルーシュさま・・・」
愛しげに名前を紡いで、ルルーシュの肌を強く吸い上げた。
ルルーシュの首筋から胸元へかけて朱痕を散らばらせながら、ジェレミアは必死で声を押し止めている。
ジェレミアの欲望を追い詰めながら、ルルーシュはそれを気にもしていない。
なぜなら、ジェレミアは主の立場を悪くするようなことをしないのを知っているからだ。
痕は点けても服で隠れないところには絶対に残さない。
首筋に点けた痕も服の襟に隠れる場所をちゃんと考えている。
だから後のことを心配する必要はなかった。
ルルーシュにとってジェレミアは自分に従順で至極都合のいい存在なのである。
―――・・・なんだ、それでは奴隷と変らないではないか?
そう考えて、ルルーシュは苦笑をもらす。
「ルルーシュ様の奴隷になりたい」などと言いながらも、ジェレミアはルルーシュの記念すべき奴隷第一号の称号を賜っていたことに気づいていない。
これが笑わずにいられようか。
ルルーシュの従順で無自覚な奴隷は、ルルーシュの押し殺した笑い声に気づいて、驚いたように顔を上げる。
「ルルーシュさま・・・?」
この場に不似合いな不思議そうな顔をしているジェレミアが可笑しかった。
だから、たっぷりと焦らしてやろうと考えていた計画を急遽変更することにする。
ルルーシュの身体を抱きしめているジェレミアの手をとって、その手を自分の下肢に導くと、一瞬だけ触れて戸惑うように離された。
「・・・どうすればいいのか忘れてしまったのか?」
「いえ・・・その、あの・・・」
ルルーシュの意地の悪い言葉に、ジェレミアは顔を紅くして躊躇っている。
もう一度その手をとって無理矢理下肢に押し付けさせると、ジェレミアは恥ずかしそうに俯いてしまった。
「俺を感じさせてくれよ・・・」
耳元で囁くと、ジェレミアの手がゆっくりと動きはじめ、衣服の上からルルーシュの内腿をなで上げる。
まだ完全ではないルルーシュの欲望に辿りついて、下肢を覆う厚めの生地越しに掌でなぞると、その形を確かめるように緩く握った。
徐々にルルーシュの欲望が体積を増してくる。
「やればできるじゃないか」と、ルルーシュの肩に顔を埋めているジェレミアの髪に指を差し入れて、優しく梳いた後にルルーシュはその髪を掴んでグイと後ろに引いた。
ジェレミアの手がいつの間にかルルーシュのベルトに掛けられている。
「行儀が悪いな・・・直接触れることを許可した憶えはないぞ」
「も、申し訳・・・ございません・・・」
苦痛に顔を歪ませて謝罪するジェレミアの髪を更に強く引いて、ルルーシュはその顔を上から覗き込む。
「しばらく構ってやらなかった間に俺の躾を忘れたか?」
「・・・申し、訳・・・ございま、せん・・・」
頸を思いきり反らされて、途切れ途切れに言葉を発するジェレミアに、ルルーシュは目を細めた。
「ちょっと優しい顔をするとつけ上がるのがお前の悪い癖だな」
「お、お許し、ください・・・ルルーシュ様・・・二度と、勝手な真似は・・・いたしません・・・」
「俺の命令が待ちきれないくらいに我慢ができないのか?」
そう言って、ルルーシュはちらちとジェレミアの下肢に視線を落とした。
髪を掴まれた痛みの所為で、ジェレミアの欲望は先程よりも勢いをなくしていたが、それでも先端から愛液を滴らせてけなげに起ち上がっている。
「仕方ない・・・お前を放置しておいた俺にも責任がないとは言えないから今日は大目に見てやる。そのかわり・・・」
「たっぷりと愉しませてくれよ?」と、ルルーシュは掴んでいたジェレミアの髪を離してやった。
高圧的な態度でもって、ジェレミアを萎縮させて、更なる忠誠心を植えつける。
主の命令にジェレミアは決して逆らわない。いや、逆らえない。
掴まれた髪を解かれたジェレミアは崩れ落ちるようにルルーシュの前にひれ伏した。
ルルーシュは靴を履いたままの脚を投げ出すように広げている。
主の許しを得て、ジェレミアがルルーシュのベルトを解いて、下肢を覆う衣服を寛げ、剥き出しにされたルルーシュの欲望に躊躇うように指を絡ませた。
ルルーシュの顔色を窺いながら、ジェレミアは絡めた指でルルーシュを刺激する。
それはルルーシュに教え込まれた愛撫の仕方。
少しでも機嫌を損ねるとルルーシュは遠慮なしにジェレミアを怒鳴りつける。
怒鳴りつけるだけでは足りずに、最初の頃は殴られたり蹴られたりすることも珍しくはなかった。
今はそこまでのことはなくなったが、それでもジェレミアはルルーシュの顔色を注意深く窺う。
枕に背中を預けたルルーシュは無表情にそれを見下ろして、心の中で小さく舌打ちをする。
無論ジェレミアはそんなことは知らない。
ルルーシュに言われた通りに、機嫌を損ねないよう気を配りながら愛撫を続けている。
「もういい!」
と、ルルーシュの声を聞いて、ジェレミアは手の動きを止めた。
ルルーシュは無言でジェレミアを見下ろして、目の動きだけで次の行動を強制する。
怯えたような瞳を伏せて、ジェレミアが成長しきったルルーシュの欲望に唇を近づけて、それに舌を這わせた。
根元から先端までを丁寧に舌で刺激して、ゆっくりと口内に招き入れる。
その柔らかく生暖かい感触にルルーシュの欲望は更に大きさを増していく。
喉の奥まで押し込んでも、すべてを呑み込むことは困難なくらいに膨張したそれを、ジェレミアは舌を使って丁寧に愛撫した。
いつもならジェレミアの頭を押さえつけて、無理矢理喉の奥まで押し込んだりするルルーシュだが、今日はそんな必要はなさそうだった。
ジェレミアは何度も噎せ返りながら、自分の限界までそれを呑みこもうとしている。
少しは学習しているようだ。
口内から溢れた唾液が滴って、ルルーシュの根元までをしっとりと濡らしている。
頚部に絡めた指が上下するたびに、淫靡な水音が室内に響いた。
それでもジェレミアは貪るように愛撫を続けている。
「指なんかよりお前はこっちの方が余程好きなんだろ?」
問われても、口内にルルーシュを銜えているジェレミアは何も返さなかった。
答えを返さないジェレミアの前髪を掻き上げて、その表情を窺い見る。
ルルーシュの命令に従順に奉仕を続けるその姿が可愛かった。
最初の頃は「私はこんなことのために貴方に仕えているのではありません」などと、散々拒み続けたジェレミアだったが、今はそんなこともなくなってしまった。
力で抵抗すれば、ルルーシュなど恐れることもないはずなのに、ジェレミアはルルーシュに対して決して腕力を使わない。
いつだったか、面白半分で聞いたことがあった。
ジェレミアは微かに微笑んで、
「私が力でルルーシュ様に抵抗したら、私は貴方を傷つけてしまいます。いや・・・殺してしまうかもしれません」
そう答えたジェレミアの笑みはどこか淋しそうだったことをルルーシュは記憶している。
それくらい機械の肉体の力の制御が難しいということなのだろう。
それっきりルルーシュはその話題を続けることはなかったが、そのときのジェレミアの顔は今もはっきりと憶えていた。
哀れむつもりなどなかったが、その顔を思い出して、ルルーシュはジェレミアの顔を上げさせる。
朦朧とした表情で、口端から唾液を滴らせたままルルーシュを見つめるジェレミアは、理性をなくした猟奇的な色気を纏っていた。
「ジェレミア?」
「はい。ルルーシュさま・・・」
「どうしたい?」
「ルルーシュさまのお心のままに・・・」
ルルーシュの言葉に、ジェレミアは覇気のない声で教え込まれたとおりの返事を返す。
その身体を抱きしめるように引き寄せて、腰を上げさせる。
愛撫も慣らしもしていないジェレミアの奥に、しっとりと濡れた性器を宛がうと、ゆっくりとジェレミアが腰を沈めた。
埋め込まれていく圧迫感に、息を詰まらせながら、ジェレミアは苦痛の表情を浮かべている。
「声を出しても構わないぞ」
言われて、ジェレミアはようやく苦痛の声を洩らした。
しかしそれは最初のうちだけで、ルルーシュが奥に進むたびに甘い吐息へと変化していく。
更に追い上げるために、ジェレミアの前に手をかけて、ゆるゆると刺激を与えてやると、ジェレミアの声は切なそうな喘ぎに変った。
激しい快楽に呑みこまれて、背中を撓らせながら無意識に腰を揺らす。
ルルーシュはそれを咎めることはしなかった。
ジェレミアの四肢を支える脚がガクガクと震えている。
意識を朦朧とさせ、理性を完全になくしてしまっているこの状況でも、ルルーシュの身体に負担がかからないように自分の体重を必死に支えていた。
「ジェレミア、もういい!脚の力を抜け!」
「それは・・・できま、せん。・・・ルルーシュさま、に、御負担が・・・」
「では・・・では、身体の力を抜け!これは命令だ」
「イエス、ユア・マジェスティ・・・」
「馬鹿、こんな時にそんな言葉を使うな!」
「申し、訳・・・ござ、いませ・・・ん・・・」
「そんなことはどうでもいい!身体の力を抜いて横になれ・・・このままではお前の神経がズタズタになる・・・」
「・・・ルルーシュ、さま」
ふっと力を抜いて揺らめいたジェレミアの身体を抱きしめるように押し倒して、ルルーシュはジェレミアの中に埋め込んだ性器を引き抜いた。
もどかしいそうに邪魔な衣服と靴を脱ぎ捨てて、ジェレミアの身体を抱きしめる。
ジェレミアの胸元に口づけをしながら、その重たい脚を持ち上げて、ルルーシュは一気にジェレミアを貫いた。
悲鳴のような嬌声をあげるジェレミアに構わず腰を動かすと、ルルーシュを銜え込んだそこがヒクヒクと収縮する。
両腕でジェレミアの脚を支えなければならないので、前への刺激は与えてやれなかったが、ジェレミアはルルーシュの与える奥の快楽に陶酔しきっているようだった。
一際深く押し込むと、ジェレミアは「あぁッ」と高い声を発して、背中を弓なりに撓らせる。
ルルーシュを締め付ける力が一瞬弱まり、激しく痙攣を繰り返す。
その刺激に触発されて、ルルーシュはジェレミアの奥に打ち付けるように吐精した。
下腹部に湿った感触を感じて、視線を向ければジェレミアの性器は勢いを失い、先端からどろっとした白い精子を垂れ流している。
それっきり、ジェレミアのそこは限界に達することはなかったが、ルルーシュの若い欲望は限度を知らず、その後も何度かジェレミアの中に精を吐き出した。
ジェレミアは激しく痙攣を繰り返し、そのうちに意識を手放していた。
どれくらい時が経過したのかわからないくらい長い時間を、繋がって快楽を貪って、気がつけば室内は完全に闇に覆われていた。
気を失ったジェレミアの身体の上にその身を預けるようにして、ルルーシュはジェレミアの乱れた髪を愛しげに掻き上げてやる。
ピクリと瞼が一瞬動いたが、ジェレミアが瞼を開けることはなかった。
「お前は俺のことを全然理解していないのか?」
髪を掻き上げてやりながら、ルルーシュがぽつりと呟く。
主従の関係は絶対だが、セックスの時までそれを強要するつもりなど、今のルルーシュにはまったくなかった。
せめて二人だけで過ごすこの時間は、隷属的な関係よりも対等な関係を強く望んでいる。
ルルーシュの心境が変ったのは、彼がまだ黒の騎士団で「ゼロ」として君臨していた頃だったのだから、つい最近のことではない。
しかし、ジェレミアはそれにまったく気づいてくれない。
そう仕向けたのは自分なのだから、それも仕方のないことだと、ルルーシュは思う。
目を開けそうにないジェレミアに、そっと口づけて、ルルーシュはベッドを離れた。
脱ぎ散らかした服を拾い上げ、手早く身に着ける。
「目が覚めて俺が傍にいたんじゃ気もやすまらないだろう?」
眠っているジェレミアに背中を向けたまま、そう呟いて自嘲を浮かべたルルーシュは、次の瞬間には皇帝の顔をしていた。
そのまま振り返ることなく、皇帝となったルルーシュはジェレミアを残した部屋を後にした。